BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット―― 一変!

f:id:boatrace-g-report:20171212102350j:plain

 「寒いですよねえ」

 ピット内のあちらこちらでそんな声が聞かれていた。

 僕自身、昨日までの気候に合わせた薄着をしていたため、腕には鳥肌が立っていたくらいだ。気温は18度くらいだったが、昨日までは夏日、真夏日だったのだから、体感的にはかなり寒い。

“ミスター”今村豊などは、寒さを表現するようにポケットに手を突っ込んで、肩をすぼめていた。

 楽天イーグルス風のジャンパーを着ていたが、北国の漁場にでもいれば、いかにも絵になりそうな雰囲気だった。

 

f:id:boatrace-g-report:20171212102404j:plain

 ジャンパーを着た選手、Tシャツ一枚の選手といろいろだったが、たとえば吉田拡郎は、Tシャツ一枚で1人の記者と長く立ち話をしていた。

 話が終わったら「寒くないですか?」と聞こうと思っていたが、気が付いたら、SGジャンパーを着ていた。記者との話が終わったあとに控室に戻って着てきたのだろう。

 桐生順平なども、長くTシャツ姿で作業をいたが、気がつくとやっぱり、それまでは腰に巻いていたジャンパーを着ていた。

 対して深川真二や三井所尊春はいつまでもTシャツだった。佐賀の男は寒さに強いのだろうか!?

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171212102450j:plain

 8R後だったか。手持無沙汰な感じで歩いている守田俊介を見かけた。何か気分良さげにも見えて、好感が持てた。SGドリーム戦出走を楽しめていたのではないのだろうか。

 個人的にはそんな印象を持っていたが、やはり本人も気分は良かったのだろう。

 BOATBoy編集長の黒須田に対しては、ニコニコしながら、「雨に濡れたくないから試運転に出れないんですよ~」と話しかけてきたらしい。

 とはいえ、展示航走の前のスタート練習には出ていたように、マイペースながらも、やるべきことはしっかりとやる選手だ。さすがは「風雲きもり城」の男である。

 ……寒い寒いと言っているのも「10年に一度の強さ」と言われる台風が接近しているのだから当たり前で、夕方になるにつれ、その気配は濃厚になっていた。

 関東のピークは明け方になるとみられているようだ。それだけにピット内の雰囲気はやはりいつもとは違っていた。

 

f:id:boatrace-g-report:20171212102513j:plain

 そんな中で気になった一人が峰竜太だ。

 峰はフライング休みでチャレンジカップに出られないため、このダービーが賞金王決定戦出場の勝負駆けとなる。

 ここまでの賞金額からいえば、ここでは300~500万円程度は賞金を加算しておきたい。それを考えれば、できれば優出、少なくとも準優出→選抜戦と進んでおきたいところである。

 それでいながら、初戦は3号艇で6着となってしまった。そのため、1号艇に乗る2走目の11Rは、どうしても負けられないレースになっている。

 その気持ちがあらわれていたのだと思う。

 少し慌ただしくも見えるくらいに、プロペラ調整→試運転→プロペラ調整というふうに、休みなく作業をしながら午後を過ごしていた。

 その11Rを勝ったあとには、さすがに多少はホッとしたようにも見えたものだ。それでも、勝負はこれからであり、明日以降も峰からは目が離せない。

 

f:id:boatrace-g-report:20171212102547j:plain

 また、賞金王決定戦出場はすでに当確といえる位置にいる井口佳典も、今日は1Rで1号艇3着、8Rで3号艇6着とスタートダッシュにつまづいてしまった。

 8R後、急ぎ足で整備室に向かう井口の横には、コメントを取ろうとして記者がついていっていたが、「悪くはないと思っているんですけど」との井口の声が聞こえてきた。

 とはいえ、さすがに表情は硬かった。

 そのまま整備室へと入っていった井口はすぐにギアケースを外して調整を始め、その後にはプロペラ調整へと作業を移行していた。

 どんな状況であっても、やるべきこと、やれることはすべてやる。それが井口だ。

 台風が迫る中、選手たちはどんな夜を過ごして、どんな朝を迎えるのか。こういう時だからこそ、普段以上の“一変”はあるはずだ。それがどういうかたちで出るのかが、楽しみである。

(PHOTO/中尾茂幸、TEXT/ワンポイントリリーフ内池)