BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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大村クイクラ優勝戦 私的回顧

 

ティアラの彼方へ

 

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12Rクイクラ優勝戦

①遠藤エミ(滋賀) 12

②小野生奈(福岡) 31

③長嶋万記(静岡) 19

④平高奈菜(香川) 15

⑤寺田千恵(岡山) 16

⑥海野ゆかり(広島)19

 

「女王誕生」

 今節のキャッチフレーズにもっとも相応しいレーサー、遠藤エミが勝った。トップスタートから長嶋の猛烈なまくり差しをギリギリ凌ぎきった。

「ちょっと緊張して、ターンマークに寄り過ぎて差された」

 反省材料もあったようだが、このレースは遠藤にとって結果だけが求められる一戦だったと思っている。トライアル初戦からピンピンピンピン、無傷の4連勝でのパーフェクトV。遅すぎるくらいのGI初制覇ではあるが、新たなる女王の誕生を心から祝福したい。おめでとう!!

 

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 そして、明日からは、2018年の元旦からは、今日の勝利の余韻も切り捨てて前だけを見つめてもらいたい。この優勝は遠藤エミにとってひとつの区切りであり、単なる通過点であり、さらなる舞台への踏み台に過ぎないのだから。

「大村のエミには、圧倒的な強さで優勝してほしい。っていうか、圧倒的な強さで優勝しなきゃいけないでしょ」

 

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 こう言ったのは、友人のKちゃんだ。この大村に入る直前、堺東の立ち飲み屋で何度も何度もこう言った。デビュー当時からエミの資質に惚れ込んでいるKちゃんは、それだけを待ち望んでいた。単に優勝してほしいのではなく、“圧倒的な強さで優勝”して女子レーサーの中では別格な存在であること、このステージとは別次元の世界でも勝ち負けできる存在であることを証明して欲しかったのだ。そして、今節のエミはほぼ完璧なレースでそれを成し遂げた。圧倒的な強さでの優勝だった。それが、重要なのだ。

 

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「(優勝すれば)クラシックの権利を得られることを、ずっと意識していました。それが嬉しいです」

 表彰式でそう言い放ったエミの顔は、実に凛々しかった。ここであれこれ老婆心じみた言葉を並べるまでもなく、エミはそれを自覚していた。1カ月前の下関GⅡレディースチャレカは1114341①というほぼほぼ圧倒的な強さで優勝。そして今節はさらに強い勝ちっぷりで女子レーサー界の頂点に立った。が、その短い間隔の中で挑戦したGPシリーズ戦は5565663という惨憺たる結果だった。来年、遠藤エミが戦う舞台は、そこでなくてはならない。「女王誕生」から「絶対女王誕生」へ。6時間後には気持ちを切り替えて、ティアラよりももっともっと重いオブジェを目指してもらいたい。あ、今その光景を想像したら、ちょっと吹き出してしまったけれど(笑)。

(text/畠山。photos/シギー中尾)