BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――諦めない

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 さすがに落ち着いてきましたね~。そう整備士さんに話しかけられた。やっぱり整備士さんも、初日からの整備ラッシュを実感していたのだな。セット交換が5人。丸野一樹は2回行なっている(今日の後半は元に戻したのだそうだ)。3日目後半になって、整備室はかなり選手の姿は少なくなった。といっても、ちょうどそのころ、石野貴之がキャブレター調整をしていたりするわけだが。

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 10R発売中まで試運転をしていた毒島誠も、その後に本体を外している。バラしたわけではなく、短時間でまた組み直していたので、キャリアボデー交換だろうか。あと、茅原悠紀がギアケース調整を行なっていた。このように、それぞれの感触によって整備調整は続いていくわけだが、それでもラッシュは一段落ついたと言っていい3日目後半。整備士さんたちも忙しかっただろうなあ。ご苦労様です!

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 茅原は毒島と同様、10R発売中に試運転からあがってきている。明日はピンピン勝負。今日は1R1回乗りのあと、たっぷりと調整と試運転に時間を費やした。ここまでは苦しい戦い、足的にも一息ではあるが、もちろんまるで諦めていないし、気合が萎えることもない。今日の最後にやったギアケース調整がどう反応するのか、明日の気配には注目しておきたい。

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 そうそう、予選突破は絶望的となった丸野も、勝負を捨てたわけではない。先述の通り、2度目のセット交換は元に戻したもので、9Rはさらにキャリアボデーも交換している。キャリボ交換も今節2度目なのだが、これは元に戻したのではなく、まったく別のものに換えたそうだ。パワーアップを諦めていないのだ。準優に進めなくとも、何かを掴んで帰りたい。敗者戦であっても結果を出したい。そんな思いで、厳しい戦況のなかでも奮闘する。9Rは少々上向いた感はあったので、ここからさらに上積みして、意地を見せる残り3日間にしたいところだ。

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 10R、高野哲史が3コースまくり差しで1着。見事な一撃だった。これが今節初勝利で、4戦オール3連対は上々の成績。昨日1号艇で取りこぼした分をしっかり巻き返してみせた。レース後の高野はもちろん嬉しそうに笑っていたわけだが、もっと嬉しそうだったのが師匠の吉川元浩。9Rは吉川が逃げ切っていて、師弟で連勝! 二人で顔を見合わせて笑っている様子は、なんとも幸福感があふれていていい光景なのであった。それにしても、高野はSGで強いなあ。まだ2度目の参戦ではあるものの、初出場で優出、今回も快調なのだから素晴らしい。今年に入ってGⅠ斡旋は地元尼崎周年と近畿地区選だけ。もっと記念に出ててもいいよね。このグラチャンでおおいに名前を売ってください!

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 で、インで差されて2着の原田幸哉はやはり悔しそうなレース後。というか、不機嫌に見えるような表情なのであった。差されるとは思わなかった、といった雰囲気で、まさに勝者と敗者で明暗分かれるレース後、だったのだ。それでも、準優は当確! 明日は6号艇1走だが、準優好枠を狙って熱いレースを見せてもらいたい。

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 さてさて、あなたはニッシーニャジャンプを知っているか!? まず右手を高々と掲げ、左手を腰に回して、数回ピョンピョンと跳ねる。途中で右手と左手を入れ替えて、また数回ピョンピョン。これがニッシーニャジャンプだ! さらに両手をぐるぐる回したりしていて、ようするにこれはストレッチ。レース直前、展示後にいったん脱いだカポックと勝負服を着こむ直前に、出走待機室の前でやっているルーティンなのである。精神統一も兼ねてるのかな。大の酒好きで、おどけた素振りばかり見せている西山貴浩は、実はやっぱりアスリートなのである……などと書いたら営業妨害とか言われるかな(笑)。なんだかんだ言って、この男、根は真面目なんだと僕は思います。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)