●さっそく!
前検日に高田ひかるがプロペラを叩いている。それだけでドキドキしますね! ボートを下ろす前から、ガンガンと叩く。明らかに、伸び型に叩き変えているのである。
それはかなり長い時間に及んでおり、完全にモデルチェンジをはかっている。結局、ボートを下ろしたのはスタート練習が始まる直前。もちろんラスト! 微妙な部分の仕上げは明日からということになるだろうが、前検日から高田は自分の形=伸び仕様にもっていくというわけである。今節、どこまで伸びるのか楽しみ!
●早くも盛況
プロペラを叩いていたのは、なにも高田だけではない。スタート練習&タイム測定が始まる前から、プロペラ調整所は大盛況だ。西橋奈未など、かなり強くハンマーを打ちつけており、大きく叩き変えているのは明らか。高田のペラは特殊ではあるものの、そうでなくとも前操者の形を変えてしまおうという選手は少なくないわけである。
男子と女子ではプロペラの仕上げが違う、とはよく言われる。体重の軽い女子は、男子が仕上げたままのプロペラでは回転が上がりすぎて乗れないというのだ。逆もまた真なりで、女子が乗ったあとに男子が乗ると、回転を止める方向でペラが調整されているので重く感じるというのだ。西橋のモーターの前操者は水原慎だし、大半のモーターは前操者は男子。ペラ調整所が盛況となるのも必然なんでしょうね。
●ハンドルの調整?
好モーターを引いた蜂須瑞生だが、前検6班と後半組ということもあってか、ボートを下ろすのがかなり遅くなった。ペラ調整ではなく、ハンドル周辺を入念に調整していたのだ。まず、ハンドルは高さを調整することができ、選手はそれぞれ乗りやすい高さに設定する。また、モーターとハンドルを結ぶワイヤーも選手好みに調整され、今村豊さんはかなりハンドルを堅く(重く)結びつけることで知られていた。そのあたりの調整を蜂須もやっていたのだろうと推測されるが、その作業を清埜翔子がずっと見守っていたのは少々気になるところ。その後は何事もなくボートを下ろしていたのでさほど心配はないのだが、評判機を得ただけに万全で戦ってほしいと願うばかりなのである。
●本体整備!
スタート練習とタイム測定を終えてあがってきた廣中智紗衣は、その後すぐさま本体整備に突入した。前検から本体を割るとは! ピストン2本を手に部品庫のほうにむかっていたので、交換の可能性もある。明日の直前情報をぜひチェックしてほしいが、前検の段階で本体整備とはそれほど見かけないことだし、また感触に異常を感じたのではないかと推察されるわけである。整備中、平田さやかが寄り添ってきて心配げに見ていたりもした。明日の気配が気になるところだ。
あと、櫻本あゆみも整備室にいたが、大きな整備をしていたかどうかは不明だった。なにしろ本体整備用のテーブルは奥のほうにあって、しかもその隣には部屋もあり、そのガラス越しにしか様子を見ることができないのです。こちらも直前情報は気にしておこう。
●ヒアリング?
スタート練習前に試運転をしていた松尾夏海。いったん陸にあがると、装着場の真ん中で小池礼乃に声をかけている。ふたりは肩を並べて水面のほうを眺めながら、会話を交わしていた。小池は遠くを指さして身振りを加えたりもしており、なんだかレクチャーしているようにも見える。松尾107期、小池112期と同期ではなく、ただし小池は地元福岡支部である。
今ざっと調べてみたら、松尾は15年3月以来の福岡参戦。水面のイメージ等、忘れていることも少なくないだろう。そこで地元の小池にヒアリングをしていた、というところだろうか。福岡水面は独特なだけに、こうした下準備も大切ですよね。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)