●優勝戦の日も変わらず
艇修理室の前に優勝戦組のボートが固めて並べられている。優出選手のボートはカウルをそれ用に付け替えるわけだが、それを担当するのが修理担当の方たちなので、その前に置かれているのは、なるほどといったところ。ただ、よく見ると毒島誠のボートだけ、そこになかった。どこにあるかは、わかっている。確認しにいくと案の定、係留所にすでにつけられているのだった。準優日、つまり昨日も同様。確認していないが、日々同じだったと思う。毒島は早々にボートを下ろし、試運転とペラ調整を早くから行なう。そのルーティンを、優勝戦の日も変えないわけだ。準優を好タイムで勝ち上がりながら、感触については不満を述べていた毒島。足りないところを補うためにも、今日は一日使って、調整に励む。
●確認
２Ｒ発売中、秦英悟が水面に出ていった。序盤の時間帯では、毒島以外では唯一、ボートを下ろした優出組となる。これまた動き出しが早いなあ、とその様子を見ていたのだが、ものの数分で、またボートを陸に上げるのだった。１周か２周走ってみて、昨日までの手応えの違いを確認したのだろう。すぐにペラを外し、そのままペラ調整室へと入っていった。これもまたルーティンをしっかりこなした、ということになるかもしれない。
●朗らか
１Ｒのエンジン吊りを終えて、自艇に向かったのは上條暢嵩。操縦席に乗り込んで、キャブレター周りのボルトの締め具合を確認しているようだった。昨日の『週刊ＢＯＡＴＢｏｙ』では突撃インタビューに出演してくれたので、そのお礼をするために近寄る。すると上條は元気いっぱいに、ああ、こちらこそありがとうございました！ 昔から人当たりが良く、朗らかな男だが、ＳＧファイナリストになってその朝も何も変わらないのでありました。本格的な調整作業はもう少し先になりそう。
●ゆったり
まだ作業を始めている様子がなかったのが、中島孝平と前田将太だ。二人ともエンジン吊りには出てきて、てきぱきと動いていたが、その後は控室へと戻っていっている。モーターからプロペラは外されていたので、いつでも調整を始められるという感じではあるが、序盤の時間帯はしばしゆったり過ごす模様。
●緊張感はどうか
そして、どうしたって注目してしまうのは、遠藤エミである。序盤の時間帯、遠藤はペラ調整室の住人となっていた。まあ、これもいつものことだ。緊張感があるやなしやは、正直よくわからない。馴染みの記者さんと長く話し込んでいる場面があって、そのときは柔らかい表情で、目もとも穏やかであった。心許せる人と会話を交わすことが精神安定剤になるんだろうなあ、とは思ったりもしたが、そのときの様子はリラックスしている雰囲気ではあった。
ひとまず、遠藤に限らず、序盤のピットはピリついた空気はあまり感じられなかった。これが時間を追うごとにきっと、どんどんと濃密なものになっていくだろう。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
