BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――無事故を祈ります!

●人気者

 9Rは吉川昭男が逃げ切り。レース後は多くの選手に声をかけられている。勝利者インタビューが終わって、モーター格納に向かう際も同様。そのたびに、ガハハハハという笑い声が起こっていた。昭男さん、人気者! かつて西山貴浩が「艇界で3本の指に入る面白い人」と評していたこともあって、吉川の周囲には笑いが絶えないし、みな楽しそうに絡んでいる。まさにムードメーカーなのだ。

●無念の帰郷

 昨日は一瀬明が途中帰郷の憂き目にあってしまったが、今日も三嶌誠司、大澤普司が途中帰郷と相成ってしまった。三嶌は8Rで選手責任外の沈没失格。これで打撲を負ってしまったようだ。レース後は痛みをこらえながら、手早く撤収作業。今節は待機行動違反をとられてしまったり、沈没してしまったりとツキがなかった。娘さんも養成所入りしたことだし、まだまだ奮闘してもらって、来年のマスターズでもまたお会いしたいもの。

 大澤は9Rで腰部捻挫での帰郷。大澤が着替えている間、同期の徳増秀樹や上平真二、また関東地区の選手たちがモーター返納の準備をしながら待機していた。大澤の身体を心配して、出来る限りのヘルプをしようということだったのだろう。大澤も来年こそは、カッコいい走りでこの舞台を盛り上げてもらいたい。

●緊張が走る

 10Rでは、1周バックで繁野谷圭介と田頭実がもつれ、田頭は大きく置かれるシンガリ負けとなってしまっている(繁野谷は不良航法)。帰還した田頭は、ボートが陸にあがっても降りることができず、その様子にピットには緊張が走っていた。田頭は顔をしかめており、どうやら足を痛めた様子。結局、仲間たちは田頭をボートに乗せたまま、医務室へと運んでいくのだった。
 11R発売中、田頭は微笑みとともにピットに登場! どうやら大きなケガはなかったようで、心配する仲間たちと談笑しながらモーター格納作業を進めていた。どうやらステアリングバーの交換も行なっていた様子。ハンドルとモーターをつなぐワイヤーが結びつけられている部品ですね。これが曲がると操縦に影響が出るので、接触があった後には時折見かける交換作業です。そう、田頭は明日も走る! 前夜版の出走表にも名前があって、明日は1号艇! 不屈の男・田頭に声援を!

●初勝利

 10Rを勝ったのは白井英治。4コースから展開を突いて差し切った。レース後は田頭を心配して顔を歪めている瞬間もあったが、勝利者インタビューに向かう際にはゴキゲン! カメラを向けると、「マスターズチャンピオン初勝利!」と笑顔を見せた。おっ、ということは水神祭っすね! と言ったら「やらないよ!」と拒否されたのだが。まあ、やるわけないよね。
 インタビュー後、白井は整備室に向かい、なんとモーターをバラバラに! 1着を獲ったとはいえ、あるいは獲ったからこそなのか、本体に手を入れたというわけだ。交換があるかどうかは直前情報で確認するとして、勝ってさらに上積みを目指す姿勢もまた、この男の強さの源泉なのだろうと唸った次第。

●スリット写真の前で

 11R後、エンジン吊りを終えた選手たちが控室へと向かっていく。その途中にスリット写真の掲示板があって、すでに11R分も貼り出されているので選手たちはそこで立ち止まることになる。
 あーっと声をあげたのは寺田千恵。出走していないのに? 4コースの立間充宏はゼロ台のスタートを行っており、旦那様が早いスタートだったことに声をあげたのだろう。その横で苦笑いしながらスリット写真に見入る立間。さらに隣では5コースだった中辻博訓が同じようなタイミング(結果、2人ともコンマ07でした)だったことで、やはり苦笑いを浮かべているのだった。見かけたのはたまたま11Rでしたが、レースが終わるごとにこの掲示板の前では選手がさまざまな表情でスタートを振り返り合っているのです。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)