Ｗ野田の反乱
初日はインコース５勝で万舟４発というなかなかの荒れ水面だったが、そのうち２発に多大な貢献を果たした同姓レーサーあり。
★125期・野田なづき（佐賀・22歳）
★126期・野田彩加（山口・19歳）
このふたり、前半２Ｒにそれぞれ３号艇＆２号艇の好枠で対戦し、４カド渡邉優美の一撃まくりを浴びて４・５着の痛み分け。まったく冴えないレースぶりだったが、２走目に大穴の片棒を担いだ。
まずは３着で配当を引き上げたのが、６Ｒ６号艇の彩加・19歳だ。枠なりの大外６コースから、４カド浜田亜理沙の進軍にぴったり連動してのなかなかに豪快なまくり差し一閃。先攻め浜田と逃げる深川麻奈美には届かなかったが、あっという間に３番手を取りきっていた。臨機応変にして勇猛果敢、あっぱれな攻撃だ。
だがしかし、ボートレースは半周で終わる競技ではない。１周２マークからはメキメキ力をつけているお茶の水の才媛・⑤中村かなえが、あの手この手で彩加に追いすがる。ひとつ間違えばすぐに逆転という攻防のなか、モニターに映し出されたオッズがこうだ。
【①④⑤35.5 ①④⑥197.0】
恐るべき大差。おそらく全国のファンの多くは逆転での的中を祈ったはずだが、超人気薄の彩加が難敵の追撃を振り切って200倍近い“ピンマン”の立役者となった。
で、こんな配当が吹き飛ぶほどの倍率をアシストしたのが７Ｒ５号艇、１期先輩にして３つ年上のなづき嬢だ。このレースの１マークは２コース佐々木裕美が差し抜け、その直後に人気サイドの【①魚谷香織・③田口節子・④落合直子】が横並びでひしめく大接戦に。つまりバック直線では大穴になるべき要素は皆無だったのだが、２マークでその人気３艇が競るわバランスを崩すわで大わらわ。その間にひっそり５番手を走っていた野田なづきが２マークをくるり小回り、ウルトラ下克上の２番手を取りきってしまった。その後に出現したモニターオッズは……
【②④⑤572.5 ②⑤④1430（黄色！）】
つまり、⑤なづき⇔④直子はんが逆転すれば500倍台で収まるのだが、６Ｒの彩加同様になづきも強敵の猛追を振り払って２着入線。３連単配当はあっと驚く14万と3090円……６Ｒの約200倍をさらに×７倍する鬼配当を叩き出したのである。
うーーーん、こんな感じで「超人気薄のルーキー世代がヒモに絡むだけでオッズ大暴騰！」がこの大会の醍醐味でもあるんだけど、まさか初日からこんな天変地異の“毒饅頭”が出現するとは……いつものように100倍台のオッズをちまちま買い漁っていた私（自称・穴党）は、Ｗ野田の反乱をただただ指を咥えて見つめていたのだった。
さてさて、このＷ野田は姉妹でもなんでもないのだが、今年に入ってからの成績は双子のように酷似している。
★野田なづき 勝率3.64 １着率6.0％
★野田彩加 勝率3.63 １着率6.2％
ね。ちなみにデビュー初１着は【なづきが172走目、彩加が155走目】とこれまた拮抗している。ぶっちゃけ「現状のＷ野田は同じくらいの実力」という感じなのだが、ひとつだけ大きな違い（不安点）があるのだな。それは、19歳・彩加のスタート力。彼女の平均タイミングを年別に区切ると、驚くべき数字が浮かび上がるのだ。
●デビュー年0.17⇒0.19⇒0.23⇒今年0.25!!!!
おそらく、去年だけで３本のＦを切ったのが響いているのだろうが、それにしてもの極端な右肩下がり。今年の彩加はスタート勘の補正が大きな課題であり、逆に言うなら、この課題さえ克服したら彼女の成績は飛躍的に伸びるという予測も成り立つだろう。
そうそう、ルーキー世代をピックアックした流れで、今日のうちに是非とも伝えておきたい選手＆データがある。前説なしで、その数字だけを目で追ってもらいたい。
★129期・刑部亜理紗（静岡・25歳）
勝率 １着率 ２連率 平均Ｓ
2022年 2.55% 5% 10% 0.18
2023年 5.20 20% 25% 0.14
オサカベ嬢といえば、直近の若松ミッドナイトで大爆発。６コースから８戦して【３勝＆３着４回!!】というＳＧ常連レーサーでも不可能っぽい成績を挙げ、それが上記の数字に乗っかっているわけだが、とにかく急成長を遂げているのは間違いないところ。去年の５月27日の水神祭で1623倍のとんでも配当を記録した穴娘は、まさに今が旬たけなわの収穫時とお伝えしておこう。
あ、なぜ慌ててお伝えしたかというと、明日の刑部嬢の枠番が【４Ｒ６号艇・８Ｒ３号艇】だから。勝ち負けはともかく、明日の４Ｒの緑カポックは刮目して損はないと思うのだが、どうだろうか。（photos/チャーリー池上、text/畠山）
