BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡メモリアルTOPICS 3日目

やっぱり光ちゃん!

 初日から3日目5Rまで全29レース、5・6コースの58選手はすべて3着以下……そんなアウト受難の福岡水面を、『北陸の紅き狼』が一撃で切り裂いた。
 3号艇で6コース単騎ガマシの絞めまくり!
 あ、この破天荒なヒーローを称賛する前に、まずは波乱のお膳立てを作った赤岩善生に触れておこう。こちらは6号艇のピットからゴリゴリの前付け。今節では、初日9Rの山口剛以来の本格的な前付けだ。最近のファンは百も承知と思うが、ここ何年かの赤岩はほとんどまったくダッシュに引いていない。スロー専科のインファイターとして、外枠ではオラオラの前付けにも動く。さらに言うなら、そのオラオラゴリゴリ度は年々月々どんどん過激になってもいる。今日の7Rも、隙あらば2コースあたりまで潜り込む勢いでオラオラ攻めたものだ。

 だがしかし、今垣以外の4選手が徹底抗戦したからさあ大変。たちまち進入隊形は内5艇だけがずんずん深い12456//3が出来上がった。「福岡のダッシュは助走距離が短いから破壊力に乏しい」としたものだが、この極端な最終隊形なら話は変わる。内5艇が100mよりも深くなる中、舳先をギリギリまで翻した今垣だけが勢いよく飛び出す。

 北陸のまくり大怪獣・今垣光太郎。15年ほどに渡って当欄で何度も何度も何度も書いてきたが、この男ほどカドを愛し、カドを奪ったら嬉々としてスタートを張り込み(質のいい全速スタートだ)、スリットから1ミリでも覗いたらたちまち絞めまくるまくり怪獣を、私は他に知らない。
 今日も行った。“6カド”から嬉々として、唯我独尊のコンマ01全速で、たちまち絞めまくって、内5艇を引き波にハメ込んだ。嗚呼、53歳になっても、なんてやんちゃな肉食獣!! 今節、5、6コースから初めて勝ち名乗りを受けたのは、やっぱりこの男だった。

※追記/光ちゃんほどではないが、当欄で何度も書いてきた『♀まくり大怪獣ミポリン』も9Rでその獰猛な本性を剥き出しにした。3コース一撃まくり。私は心の中で勝手に「女コータロー」とも呼んでいるのだが、まさかふたり揃って大技を決めるとは。舟券も買わず、指を咥えてみてる場合じゃなかったなぁ(涙)。

モデルチェンジ馬場

 馬場貴也、39歳。不惑を目前に控えて、この男の進化、メタモルフォーゼが止まらない。昨日の4Rは3コースから伝家の宝刀=異次元スピードのまくり差し、かと思いきや……いざ実戦は、内2艇をまとめて引き波にハメるツケマイ一撃! 宝刀を警戒したであろうイン佐藤翼がやんわり落とし、2コース大池佑来がやんわり握って馬場の差し場を消した瞬間、両者を出し抜くように握り倒していた。
 そして、今日の7Rは2コースからスタンダードな必殺技=超鋭角スピード差し、かと思いきや……いざ実戦は、あっと驚くジカまくり一撃! これがスタート勝ちなら驚きもしないが、1~3コースまですべてコンマ17の横一線。そんな隊形でも馬場の差しは猛烈だからして、インからじんわり落として差し場を消した中野次郎は、完全に意表を突かれて馬場の引き波に散った。

 昨日のみならず、2日連続の強襲策。これを目の当たりにした私は、「これは、スピードスター馬場劇場の第二幕ではないか」などと思った。ここ何年間も、馬場は凄まじい差し、またはまくり差しで強豪を薙ぎ倒してきた。例えていうなら、大谷翔平のスプリットフィンガーやスイーパー。この魔球のごとき決め球は三振の山を築いたが、敵に警戒され、研究された挙げ句に「手を出さずに四球」「狙い撃ってホームラン」などと的確に応接されるケースが増えた。
 現在の馬場の2コース差し、3コースまくり差しはまだまだ1着の山を築けるレベルだと思うのだが、ライバルの警戒心が増幅していることも間違いなし。それを肌身で感じているであろう馬場が、ツーシームやカーブなど意表の球種を織り交ぜるようになった。
 そんな妄想を抱きながら馬場の雄姿を見ていたら、なんだか空恐ろしい気分になってきた。不惑を目前に控えて、この男はさらにどんだけ強くなるつもりなのか。この男の多彩な決め球を、正確に打ち返せるライバルはいるだろうか。
 馬場劇場の第二幕は長編の大河ドラマになりそうな気がしてならない。

 最後に、全選手の勝手なパワー評価をアップしときます。並べてみたらば、今節はB(中堅)がやたらと多い「どんぐりシリーズ」ってな見え方に。おそらく、そんな妙に均衡したパワー相場が「外2艇の利かない、内4艇決着だらけ」という極端な傾向を作っているのかも?

独断パワー評価

今垣光太郎 B【出B・直B】足平凡も気合のアウト一撃
松井 繁 A【出A・直A】茅原との死闘制し好ムード
濱野谷憲吾 B+【出A・直B】守屋一撃喰らい足色不問
石渡鉄兵 B【出B・直B】コース遠く惨敗も水準あり
辻 栄蔵 C【出C・直C】↓日々ゾーンから外れてる?
原田幸哉 B+【出A・直B】しぶとい回り足に魅力
瓜生正義 B【出B・直B】逃げたが余裕感じられず
吉川元浩 C+【出C・直B】長田との競りでかなり劣勢
重成一人 A+【出S・直A】すんなり5枠→3着、安定◎
池田浩二 C+【出B・直C】名手をして道中苦戦
寺田 祥 A+【出A・直S】課題の出足アップで抜群に
赤岩善生 C+【直B・直C】外枠で底力のなさ露呈か
菊地孝平 B?↓【出C・直A】引き波キャビキャビ
谷村一哉 B【出B・直B】枠なり着順で中堅あるなし
齊藤 仁 B【出B・直B】逃げたが平凡な気配
中島孝平 B【出B・直B】道中競り勝ち上昇ムード
井口佳典 B【出B・直B】特訓はもっと良さげだが
田村隆信 C【出C・直C】道中ズルズルすぎて……
柳沢 一 B+【出A・直B】まだ48%の迫力ないが…
中野次郎 B+【出A・直B】ターン回りは軽快そのもの
石野貴之 B+【出B・行A】スリット強力だが旋回一息
山口 剛 B【出B・直B】真剣勝負の連続も機力平凡
大峯 豊 A【出A・直A】安定感あり隠れ上級レベル
毒島 誠 B【出B・直B】日替わりも水準レベル維持
馬場貴也 A【出A・直A】?旋回速すぎパワー計測不能
長田頼宗 B【出B・直B】部品交換等でギリ中堅浮上
稲田浩二 B【出B・直B】地味だがしぶとい粘り腰
岡崎恭裕 B+【出A・直B】合えばターン回り強力に
平本真之 D+【出D・直C】ワースト気配のまま終戦
篠崎元志 C+【出B・直C】追上利かず素性悪さ露呈?
柳生泰二 B+【出A・直B】地味だが意外な好脚あり
土屋智則 B+【出A・直B】32%の機歴よりパワフル!
西山貴浩 B【出B・直B】中堅ど真ん中で健闘中
茅原悠紀 A+【出S・直A】減点が恨めしい鬼パワー
桐生順平 帰郷
宮地元輝 A【出A・直A】↑日々アップで上位まで!
片岡雅裕 B【出A・直C】6着は展開も道中迫力なし
大池佑来 A【出A・直A】出し切れてない感も安定◎
篠崎仁志 C【出C・直C】行足劣勢で守屋に叩かれ…
守屋美穂 A-【出B+・直A】全体しっかり上位の下
桑原 悠 A+【出S・直A】上位確信もややパンチ不足
山田康二 B+【出A・直B】何気に粘っこいレース足
遠藤エミ B+【出A・直B】大幅アップで準優チャンス
前田将太 C【出C・直C】競るとはっきり苦しい…
深谷知博 A【出A・直A】日替り感も逃げっぷり豪快
佐藤 翼 A-【出B+・直A】中堅機も不気味な実戦足
磯部 誠 B?【出B・直B】好素性生かせず黄信号
島村隆幸 C+【出B・直C】↑劣勢もギリ戦えるレベルに
丸野一樹 B【出B・直B】特徴薄めも互角に戦える
椎名 豊 C【出C・直C】迷走モード突入か…
高田ひかるB【出C・直A】↓直線ダウンでチョイ伸び程度
羽野直也 B+【出A・直B】地元7人衆ではトップ?(涙)

 Aランク(上位候補)だけを並べると、こんな感じに。信じる信じないは、あなた次第です!(笑)

☆A+/茅原悠紀、桑原悠、重成一人、寺田祥
☆A~A-/大池佑来、松井繁、深谷知博、宮地元輝、大峯豊、馬場貴也、守屋美穂、佐藤翼
(photos/シギー中尾、text/畠山)