BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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シリーズ準優ダイジェスト

圧逃!

8R
①関 浩哉(群馬)05
②寺田 祥(山口)08
③岡崎恭裕(福岡)06
④松井 繁(大阪)13
⑤吉川元浩(兵庫)09
⑥瓜生正義(福岡)13

 関が不覚を喫するとしたらスタート遅れくらいか。と思っていたが、なんのなんの、ゼロ台半ばまでしっかり踏み込んで1マークを制圧。くるり小回り旋回で独走態勢を決め込んだ。文句なしのファイナル一番乗り!
 相棒の73号機は初日の6コース2着から只ならぬオーラを発していたが、日に日にそのオーラを増して昨日は1分46秒3の節イチ時計をマーク。そして、今日も同時刻のレースで同じように逃げきり、自身の持ちタイムをさらにコンマ1秒縮めてみせた。

 もう、とにかくその圧倒的パワーといい、リズム抜群スピード抜群の乗り手といい、可能ならばトライアル組で走る姿を見たいくらいの完成度の高さ。もちろんシリーズの生え抜き組では圧倒的な節イチであり、パワーでギリギリ渡り合えるのは元トライアル組の毒島くらいだと思っている。
 準優にとって重要な2着争いは、「1マークの攻防がすべて」と言いきっていいだろう。関と同じだけ踏み込んだ3コースの岡崎が、2コース寺田にツケマイを浴びせるような強烈な握りマイで先攻。わずかに接触してぶん流れた寺田に二番差しの松井、全速でまくり差した吉川が玉突き状態でぶつかり合い、そこで完全に1-3隊形ができあがった。

 岡崎89号機の評価は3日目あたりから【出A・直B】のトータルB+中堅上位と値踏みしているのだが、今節のセールスポイントはスタート力だ。初戦のコンマ12から2戦目はコンマ09として、そこから今日まで5戦連続ゼロ台!!!!! この速攻力はファイナルでの機力の不足分を大なり小なりリカバーするだろう。

偶発的な波乱

9R
①羽野直也(福岡)
②井口佳典(三重)
③土屋智則(群馬)
④篠崎元志(福岡)
⑤佐藤 翼(埼玉)
⑥萩原秀人(福井)

 結果から先に書くと、⑤④⑥のダッシュトリオ決着で486倍の大波乱!!
 このキッカケは、「井口のピット離れ凹み」というあまりにも意外な要因だった。時系列で書くと、【井口がバナレでズッて土屋が絞め込みシャットアウト⇒大回りでコースを取り戻しに行った井口がそのままイン強奪して213/456の変則隊形に⇒イン井口・2コース羽野ともに状況変化に対応しきれずスタート遅れ⇒4カド元志が伸びなり一気に絞めまくり⇒これに連動した翼がスピーディーなマーク差しでバック先頭に!】ってな感じ。

「風が吹けば桶屋が儲かる」的に言うなら「井口がバナレでズッたら外3艇が儲かった」みたいな不思議なオムニバス波乱ではあった(笑)。
 そんな流れはともかく、実戦で賞賛すべきは4カド元志の猛攻だろう。今節の元志は最近のビッグレースになくスリット近辺が強力。スリットから自力で攻める姿も何度か見られたが、今日はそのパンチ力を如何なく発揮したと言っていいだろう。この手のレース展開でマーク差しを浴びるのは仕方のないところ。明日も外枠になる元志11号機の行き足~伸びは警戒すべきだろう。マーク差しで勝った翼ともども、正味のパワーでは関73号機より劣勢ではあるけれど。

 さて、このレースで「喝!」を与えるとすれば、やはり1号艇の羽野キュンか。これがハナから作戦で「井口を入れて2コース勝負」だったら何も言うつもりはない。今日のイン強奪劇は、明らかに羽野の油断だったはずだ。
「井口さんが2コースを取り返しに来たな。早くに付き合い過ぎたらコッチまで深くなるな」などと考えていただろうか。オレンジブイを回ってからものんびりしている間に、まんまとインを奪われてしまった。そして、2コースから起こしのタイミングを逸してのドカ遅れ。
 ①アタマを買っていたファンにとっては「なんじゃそりゃぁ」的な大喝のボーンヘッド。この場を借りて私が「喝」を叫びつつ、若きヒーローにとって大反省すべき失態として深く心に刻んでもらいたい。

赤城心中

10R
①毒島 誠(群馬) 14
②前田将太(福岡)    10
③深谷知博(静岡)    12
④椎名 豊(群馬)    08
⑤西山貴浩(福岡)    12
⑥藤原啓史朗(岡山)12

 またまた波乱。しかも9Rを凌ぐ596倍のウルトラ大波乱だ!!
 こちらの要因に9Rのような偶発性はなく、単純に勝ちたいという思いのぶつかり合いが引き金となった。起爆剤は赤城のまくり怪獣シーナ。4カドからわずかに覗くと、まんま伸びなり一気に絞めまくる。

 この獰猛な絞めまくりがシーナのもっとも顕著な習性なのだが、カド受け深谷がガッチリ受け止める。ガッチリ受け止められるほど、深谷26号機の出足~行き足は昨日までとは別物だった。ただ、それでもシーナは諦めずにゴリゴリ攻めるから、勢い深谷も内へ内へともたれる。
 勢い、その影響をモロに受けた前田と毒島もターンマーク側に圧迫される。マイシロを失いつつあった前田が選んだ選択は、窮屈な差しではなくかなり強引なジカまくり。大本命の毒島がそれを警戒していたかどうか、ターンマークを回った瞬間に引き波にハマっていた。

 群馬支部の椎名が強引に仕掛け、直接の対峙はなかったものの巡り巡って群馬支部の毒島がぶっ飛んだ。椎名も深谷に弾かれて「赤城心中」的な悲劇になってしまったが、9Rとは違って水上の格闘技らしい波乱と呼べるだろう。
 さて、この展開で1着はジカまくりの強襲を放った前田で決まり。と思った瞬間、最内から1艇が矢のように飛んできた。椎名ブロックに心血を注いでいたはずの深谷! ここでも深谷は昨日までとはケタチの出足を見せた。いや、魅せたと書くべきか。

 なんぢゃ、この足はぁぁ??
 その種明かしは、レース後のインタビューで明らかになった。
「今日になって壊れたところが見つかって、そこを直したら出足が一変しました!」
 なるほど、まさに一変。もっと早くに発見していれば、とは思うが、シリーズ戦のファイナルにはギリギリ間に合った。明日の大本命・関を脅かす一番手は、あるいはこの一変した深谷26号機なのかも?? ファイナルの枠番はこうだ。

11Rシリーズ優勝戦
①関 浩哉(群馬)
②深谷知博(静岡)
③佐藤 翼(埼玉)
④前田将太(福岡)
⑤岡崎恭裕(福岡)
⑥篠崎元志(福岡)