BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

濃霧のびわこ……初日前半のピットから

 すごい霧! 朝から水面を覆っていた霧は、2R発売中に濃霧というべきレベルに達した。装着場で作業をしていた選手がふと水面を見上げては、わあと声をあげる。レースができるの? そんな声もぼっそりと聞こえてきたりして。写真はスタート練習のものだが、特にダッシュ艇など大時計が見えるんだろうかと訝しくなってくる。

 ピット内の寒暖計を見に行ったら、な、な、何っ!? 湿度100%! こんなことってあるの? 空気内の水分は飽和状態ってことなんでしょうか? しかも、この時期にしては気温が高い! 東京は20℃以上になるとの予報を朝のニュースで見てたまげたのだが、びわこもかなり暖かい。これは霧も発生しますわな。

 装着作業をしていた寺田千恵がぼそり。「風が出ないと晴れないわよね」。そう、このときびわこ水面は無風状態。吹き流しは完全に垂れ下がり、空中線もぴくりともしていなかった。どうすれば風って吹くんですかね?
 締切が近づき、発走が遅れるのではないかとそわそわしていたら、ん? ん? 風が吹き始めたぞ! マジか! そして、テラッチが言う通り、霧が晴れてきた! というわけで2Rは無事に発走されたわけだが、2Rが終わったら風がまたピタリと止んだことをお伝えしておきます。あの風、まさかテラッチの神通力!?

 その2Rは、1号艇の北村寧々が先マイで先頭に立ったものの、内を伸びてきた中村かなえに舳先をかけられ、これは振り切ったものの2マークで櫻本あゆみの強烈な差しで逆転されてしまった。まずは、一撃で抜いてしまった櫻本に拍手。謎のマスクマンの必殺技は全速ターン!

 北村は3着に下がってしまい、悔しい一番となったが、その北村に歩み寄ったのが西村美智子。そして西村にアドバイスを始めたのだった。香川と長崎、支部的なつながりは濃くはないのだが、身振り手振りを加えながら熱心に北村に語り掛ける西村。北村も笑顔も見せながら真摯に耳を傾けている。さらにその後には、今度は川野芽唯が北村にアドバイスを始めていた。若手レディースにとって、こうして先輩に声をかけてもらえるのは実に大きなことだ。しかもこの舞台で、だから、得るものも多いはず。これを何として次につなげたいですね。

 3Rでは、デビュー以来初めての3号艇、初めてのスロー発進だった井上遥妃が2着に入った。しっかり好スタートを決めて、1マークはしっかり握っての2番手追走。2マークでは内から日高逸子に迫られたが、これも握って交わしている。登番が最も上の日高を、登番が最も下の井上が競り落とした! 実に立派なレースだったと言っていいだろう。その井上には、岩崎芳美が寄り添って言葉をかけていた。装着場内のモニターの下まで来ると、ちょうどリプレイがスタート。肩を並べてリプレイに見入る。岩崎社長が新入社員の井上事務員に業務のアドバイス!? そんなわけはなく、もちろんレースについてともに振り返っている場面だ。

 このレディースオールスターは、一部の実力者が投票でランクインしない一方、人気の若手B級選手が選出される。それにいろいろな意見もあるだろうが、選ばれた若手にとってはビッグレースで強豪の胸を借り、ピットに戻れば先輩たちがこうしてさまざまなことを授けてくれるのだから、実に意義が大きい大会と言えるのだと思う。北村や井上、さらに多くの若手がここで経験を積むことで、女子戦も底上げされていくだろうし。
 もちろん、その一方で3R終了後には日高逸子が悔しそうな表情で引き上げており、彼女たちベテランにも大きな刺激を与えることだろう。年齢では40以上も下の若手に競り負けたとあっては、グレートマザーもこのままで終わるわけにはいかないのである。それがまた戦いを今日の霧以上に濃いものにしていくことだろう。

 最後に、唐突ですが、女子の2大まくり屋のツーショットです! はい、ここまでのテキストの流れとはまったく関係ないですね。失礼。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)