BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

臨戦態勢!

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 グレードは一般戦、勝ち上がりレースの枠番はすべて抽選という特殊な一戦、そしてモーター抽選の後に行なわれた初戦=トーナメントの枠番抽選は悲喜こもごもで大盛り上がり、とお祭り的な雰囲気のバトルトーナメント。レーサーたちも普段よりずっと笑顔が多く、柔らかい雰囲気なのであるが、いざモーターを受け取って水面に出れば、すぐにレーサーの魂が顔を出す。まあ、グランプリと比べてどうかと言われればヒリヒリ感は年末のほうが強かったかもしれないが、それでも選手たちはいつも通りに調整をし、前検を走る。明日から思い切り戦うべく、作業をする。6号艇を引いて「終わたーーーーっ」と笑っていた峰竜太も、ほんとに終わったと思ってなどいるわけがなく、いつものように水面に出る前からプロペラを叩き変える。前検は最終の8班ということもあり、普段以上にペラ室にこもる時間が長かった。水面にボートを下したのはまさに最後の最後。そのときにはすっかり緊迫感のある顔つきに変わっていた。この表情はたしかに住之江でも見たものだ。

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 石野貴之は、試運転をいったん切り上げると、一瞬だけ渋い表情を見せた。それがそのまま感触を反映したものかはなんとも言えないが、すでに戦闘態勢に入っているのは明らかだ。1億円バトルに勝った男は、優勝賞金が100分の1だろうと、レースに臨めば全力を尽くす。

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 6班が前検航走を終えてあがってくる際、吉田拡郎が毒島誠に声をかけている。「伸びるなあ~」。吉田は4号艇、毒島は5号艇。スタート練習の1本目は枠なり、吉田は右隣りが出ていくのを目の当たりにしたのだろう。毒島はそれに対して否定はせず。いま前検タイムを確認したら、拡郎が6秒75、毒島が6秒61。拡郎のタイムが図抜けて遅いわけでもないので、水面での感覚は正しかったということだろう。

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 整備室では興津藍が本体を割っていた。昨年のチャレンジ以降、興津が本体整備をしているのを何度も見ているな。チャレンジ、BBCトーナメント、グランプリシリーズと機力に苦しんでいた印象が強い。また今節もか、と考えると気の毒になってくるな。今回は85期から単独参戦。銀河系代表として頑張ってほしいぞ!

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 一方、西島義則はゆったりした様子だった。それこそ、前検日から本体を割って部品交換をビシバシと行なうことが珍しくないのが西島。今日は果たして、と注目もしていたわけだが、前検航走が終わってモーターを格納すると、特に動きは見せていなかった。気配は悪くない、ということだろうか。

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 前検5班で、珍しいことがあった。三嶌誠司と村岡賢人がタイム測定をやり直したのだ。展示航走でいえば、再展示というやつ。これまでの前検取材時にはあまり見たことがない。前検タイムも展示タイムも、実は舟券参考用というよりは、モーターに異常がないかどうかをタイムではかる、というのが元来の目的だったりする。三嶌と村岡のタイムが基準に届いていなかったため、やり直しということだ。“再展示”の結果、二人とも合格。問題なく明日のレースに臨むこととなる。

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 で、三嶌は同班でもあり、全体の選手班長である金子龍介に注意を受けていた。という書き方をすると不穏な感じもあるが、そうではなく、先輩をからかいつつ諭すという感じ。スタート練習3本目のあと、レスキューが水面に出て事故灯が点灯、転覆などの事故があったときの航走練習をするのだが、三嶌は誤ってレスキューの内側を走ってしまったらしい。それを「誠司さんだけやで、内側走ってたの」と笑いながら指摘したわけだ。キンリュー、しっかり班長しています! あと三嶌さん、本番でやったら失格、さらに帰郷になりますから気をつけてくださいね。

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 今節、登番が最も若いのは前田篤哉。トーナメントは6号艇を引いてしまっている。苦笑いの前田は、前節の常滑でデビュー以来初のフライングを切っており、「そのあと3走、すべて6号艇だったんすよ。そしたらまた6」と笑った。4走連続6号艇! まあ、トーナメントは3着までに入れば勝ち上がりだから、それほど悲観する必要はない(前田の6コース3連対率は過去半年で45%)。強い相手に怯むことなく、6コースから思い切ったレースを!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)