丸亀水面は1マークが北、2マークが南というレイアウトなので、対岸はもちろん西。ということは、スタンドにもピットにも西日が直撃! この猛暑のなかで西日が強烈に降り注ぐ、いや突き刺してくるのはキツいっす! 中年の目には本当に痛く、水面のほうを向いた瞬間、悲鳴をあげてしまう。いや、これは女子レーサーも同様のようで、今井美亜が「水面まったく見れん~~~」と言ってるのが聞こえてきた。ですよね~、美亜ちゃん。
この日差しが珍しい光景も生み出していた。ボートリフトの周辺ががら空きなのだ。リフトにももちろん西日は入ってくる。ただでさえ暑いのに、日向にいるのは本当にシンドイ。お肌にもよろしくないだろう。というわけで、前検航走から仲間があがってくるのを待つ間、選手たちは日の当たらない装着場に避難。リフトの近くにいる選手にしても、柱の陰に身を隠してなんとか日陰で過ごそうとしているようだった。写真の中村かなえと清水沙樹はまさに柱の陰にいる様子。直射日光はなんとしても避けたいわけだ。
そうは言っても、試運転にしろ、スタート練習とタイム測定にしろ、結局は日差しから完全に逃れることはできないわけである。もちろん暑いから試運転などしない、なんて選手はいないわけで、みな手で日差しを遮って視界を確保したり、額の汗をぬぐいながら暑さに耐えたり、精力的に動いている。いや~、本当にお疲れ様です! レース場入りは凛とした姿で登場した海野ゆかりも、さすがに顔をしかめていたわけだが、それでもテキパキと動き、迷わず水面とピットを何度も往復しているのだから頭が下がるのである。
ところで、レース場入りを取材していて、「ん? 誰?」と首を傾げた選手がいた。おおよそ見慣れた面々ばかりのはずなのに、認識できない選手が一人、いたのである。それは中尾カメラマンと池上カメラマンも同じだったようで、記者席に帰ってきて「これは誰だ」と論じ合ったのだった。落合直子のように思えるけど、いや違うんじゃないか、などと喧々諤々、いざピットに行ってみたら、ほら、直子はんじゃないか! そう、落合直子が髪型が変わったうえに、金髪になってるのだ! さらにマスクをしているわけだから、入りの際には一瞬、落合とはわからなかった。落合の金髪、記憶にないなあ。で、ドリーム発進で前検1班の落合は、その後のエンジン吊りでは率先して動いており、金髪だからよう目立つわけである。ドリーム出場に驕らず、テキパキと動く姿勢にやっぱり頭が下がる次第である。
さてさて、前検航走はスタート練習とタイム測定で構成されているが、このやり方がレース場ごとにけっこう違ったりするのである。たとえば、まずスタート練習3本をやったあと、1艇ずつタイム測定という場があれば、最初に全艇のタイム測定を一気に行ない、その後にスタート練習という場もある。ここ丸亀は、各班まず1艇ずつタイム測定を行なって、その後にスタート練習という方式。これに戸惑ったのが大山千広。最終9班1号艇で、発艇の合図とともに本来はタイム測定のため全力で走らなければならないのだが、スタート練習が先と勘違いしたのか、スロー水域で減速したのだ。違和感に気づいた大山は、競技本部に向かって「行くの? 行くの?」と合図を送ったが、その間にも2号艇以下が次々と発艇。でも大山が行かないから、全員スローダウン、という珍しい光景になっていたのだった。3号艇の小芦るり華が右手を掲げて「行って!」の合図。それに気づいて大山は一気にスピードアップして、無事タイム測定は行なわれたのでした。24場、同じ水面はひとつとしてない、ということで、レースでもそれ以外のシステムでも、選手は対応していかなければならないのである。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)