BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ゆったりした空気

 優勝戦の朝、ベスト6組はおおむねゆったりと過ごしているもので、今日も大きくは変わっていなかった。ピットに足を踏み入れると田中信一郎が帰郷準備で荷物の整理をしており、調整作業はもう少し先になりそうな雰囲気。上平真二も同様で、エンジン吊りの後は控室へと戻っていくのであった。

 2R発売中、天野晶夫が装着場にあらわれて、プロペラを外した。調整作業を始めようということだと思われたが、この時間帯はゲージを当てた程度でいったんペラ室を出ている。やはり本格的な調整は徐々に、ということだろう。

 整備室内にあるゲージ擦り用のテーブルに、白井英治と服部幸男がいた。白井はまさにゲージを作っているようで、やすりでゲージを削っているような手の動きが見えた。服部はにこやかにそれを見つめており、時折ふたりは会話を交わしていた。白井の表情も明るく、談笑している光景と見える。そこに1Rを走った山地正樹が合流。山地が言葉を連ねているのを、服部がうなずきながら聞き入っていた。なんだかほんわかする、微笑ましい光景だった。

 そうしたなか、今垣光太郎のボートがすでに着水されていた。本番ピットの奥のほうにある、誰も係留していないピットだ。言ってみれば、隅っこにある係留所。早くも調整に忙しい……かというと、そうでもなさそうだった。

 今垣が係留所の隅のほうにボートを着けるのは実はよくあること。ある種のルーティンのようでもあるのだが、以前、ボートを陸に置いておくと整備などをしたくなってしまうので、あえて遠くの係留所にボートを置いて、整備を我慢している、と本人が言っていたのを聞いた。まあ、けっこう昔のことなので、今回もその狙いでやっているとは限らないのだが……。もしその通りなら、昨日である程度仕上がったということかも。たまたますれ違ったとき今垣は、実に快活に挨拶をしてきてくれた。少なくとも、メンタル的な仕上がりはかなり良さそうに思えた。

 さてさて、最終日朝のピットの風景。今日は2Rで寺田千恵と立間充宏の夫婦対決が実現! 寺田3コース、立間4カドの並びから、立間が伸びて寺田を叩き、まくり差し快勝。レース後、テラッチが「んもぅ!」と立間を叩くような素振りを見せてました。調べてみたら、2005年以降はこれが8回目の対戦で、立間の6勝2敗となりました。リベンジの機会は来年のマスターズチャンピオン!?

 市川哲也と大場敏の67期同期コンビ。ともにA1級勝負駆けですが、大場はほぼ問題なくキープできそう。市川はちょうどボーダー付近で、今日も気合が入る一戦であります。

 試運転前に腕立て伏せをする徳増秀樹。何気ない瞬間でも、この人の動きは濃い!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)