BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

児島オーシャンTOPICS 初日

 現在、初日の8Rが終了。先月の徳山グラチャンでは初日11R終了後に「石野のV確率50%以上」と予言して準V。続く尼崎甲子園では初日7R頃に「関のV確率50%以上」と予言して、これまた準V。かくなる上は、今節も誰かしらに「50%以上」を授けたいのだが、現時点ではさっぱり分からない。

 つまり、私のハートをずっきゅーーんするだけの鬼足は8R時点でゼロ。昨日の前検でトップ指名した田口節子21号機は引き波で脆さを露呈したし、2番手指名の近江翔吾32号機は伸び強烈だけど節子と心中する形で5着惨敗……そんな初日の流れだからして、今日はフツーに目を惹いた選手をフツーのTOPIC調で紹介しよう。

3R ミポリン、ぶっ差し!

 地元の女傑・守屋美穂が2コースからぶっ差した。最大の勝因は「インコース稲田浩二が握りすぎでほぼ真横に流れた」だと思うのだが、見た目以上に強い勝ちっぷりでもあった。守屋が差し抜けた直後、さらに内から寺田祥~前田将太らが殺到。守屋のリードはわずか1艇身ちょいも、そこからのレース足が出色。バック直線だけで2艇身ほども突き放し、2マークを軽々と先制して大きな10ポイントを獲得した。

 ミポリン旋風は続く。6号艇の9Rはアウトから最内を差したが、まったく届かずバック最後方。良くて5着までというどん底のポジションから、あっと驚く2マークの小回り一発で3番手に進出!! 先行艇が握り合ったとはいえ、マジでありえないような超絶小回りモンキーだ。一気に上位進出した守屋は、その後も関浩哉の猛追を的確に交わして3着を獲りきった。

 2号艇1着&6号艇3着=ゴルフスコアで言うなら初日4アンダーの好発進。単に着順が良かったのみならず、前半のターン出口の押し足といい後半2マークの回り足といい、出足系統は間違いなく上位レベル。現時点でV確率云々には言及しないが、とりあえず「守屋69号機の予選突破確率は50%以上」と予言しておこう(笑)。

 そうそう、ミポリン主体に書いてしまったが、後半9Rは超人気薄の⑤松田祐季がキレッキレのまくり差しでバック抜け出し。東都の絶対エース濱野谷憲吾&ミポリンを引き連れて、3連単は1100倍の特大配当となった。松田25号機は前検からまったく目立たず、ギヤケースを交換してのスタート展示ももっさり重たく見えたものだが、いざ本番では二番差しの関を外から追い抜くサプライズな馬力を魅せた。うーーーん、ボートレースは難しいっす!!

5R ニッシーニャが薄氷の逆転勝利

 インコースで1着。とりたててTOPICに挙げるレベルではないのだが、全国の熱烈なファンのためにちょこっとだけ触れておこう。西山貴浩51号機。絶好の1号艇でどんだけ圧勝するかと思いきや、1マークは2コース湯川浩司にズッポリ差されて絶体絶命に。2マークで逆転の差しハンドルを突き刺して人気に応えたが、お世辞にも絶賛できるような1勝ではなかった。

 それでも、今節の西山には希望の2文字がよく似合う。相棒の51号機は三島敬一郎の第五席。「SGではじめて良いモーターを引きました!」と本人もその気になっており、彼の抽選運の悪さを思えばまさに千載一遇のチャンスと言えるだろう。期待の相棒がどこまで乗り手をてっぺんまで持ち上げるのか。明日の【7R5号艇・12R2号艇】が真価を問われる2走とお伝えしておこう。

7R 穴男・一真の本領

 3コースの強ツケマイでちょいちょい穴をこじ開ける男。森高一真という男をそう評価しているのだが、今日の7Rでそれが起こるとは……お時間のある方は、1マークのリプレイをご覧いただきたい。3コースから攻める、と決めた時の森高の初動の早さと舳先を傾けるタイミングの早さよ! インコース寺田祥との舳先の角度を見比べれば、森高の決め撃ちツケマイの破壊力が見て取れるだろう。
 まあ、あとから解説するだけなら負け犬の遠吠えと同じ、「わかってんなら436倍を獲れよ」ってな話なんですけどね(泣) 今日もまた「森高の3コースはいつだって怖い」という教訓だけを重ね焼きする私であった。

 さて、そんなド派手な森高の背後で、ひっそりとアウトコースから3着に潜り込んだ男あり。中島孝平16号機。昨日から出足・回り足がキラリ光って見えたものだが、いざ実戦ではそれ以上の輝き!
 そのピッカピカの出足系統は11Rでも躍動し、3号艇から軽快ターンで10点を加算した。高田ひかるのはみ出しもあって「恵まれ」ではあったが、運も実力のうち。今節のジマヘイはメチャクチャ怖い存在とお伝えしていいだろう。あ、前半の足色を見て、コッチの180倍はなんとか引っ掛けましたです、はい。

12R 美しい2本の放物線

 最後のドリーム戦は、なんと言うか、とびっきりの花火大会に見蕩れてしまう。そんな1マークだった。片や3コースまくり差しの鬼・馬場貴也が、まんま凄まじい切れ味で2コース井口佳典をぶった斬り。さらにその外では、5コース割り差しの猛者・磯部誠が瓜生正義を叩ききっての豪快な全速まくり差し!!

 その2本の航跡が完全にシンクロし、絵にも描けない艶やかなパラレルワールドを形成した。6号艇◎茅原悠紀を追っていた私でさえそんな美しい光景に見えたのだから、馬場と磯部のアタマ舟券を買っているファンは、美しすぎて卒倒しそうになったのでは? それとも、どっちの航跡が先頭に躍り出るのか、別の意味で脳汁がダダ漏れしただろうか(笑)。

――6着に大敗した茅原まで込み込みで、今節の優勝者はこの6人の中から生まれるのではないかしらん?
 なんとも芸術的なドリームマッチを見ながら、私はそんなことをぼんやり思った。(photos/シギー中尾、text/畠山)