BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――銘柄級とヤングたち

 ほんの10数時間前まで年間で最もヒリヒリするピットに身を置いていたものだから、女子選手たちがハツラツと動いている前検日のピットになんだかほのぼのとしてしまった。しかも、今日の多摩川は快晴でポカポカと陽が射し込んでおり、ナイターで冷え込むピットから移動してきた者としては頭がほんわかするというもの。ギャップが凄いわけだ。
 そんな感じで作業を眺めていて、平高奈菜がいるのにドッキリしたりする。3年連続大晦日の12R1号艇だった彼女が、今年はシリーズ回りか。事前に知っていたとはいえ、今日は選手入りの取材に間に合っていないこともあって、やはり少々驚いてしまうわけである。本来なら明後日からやって来るはずの強豪の姿を目にして、ちょっと背筋が伸びた。緊張感保って取材に臨まないと。

 今節は、クイーンズクライマックス覇者が3人もシリーズにいる。平高、松本晶恵、今井美亜。ティアラを戴冠した実力者が、今年は不調に見舞われ、こちらに参戦するわけだ。少し足踏みすれば勢力図ががらり変わる、それほど女子トップクラスの層は厚くなっている。それだけに、シリーズの前検日に多摩川にやって来なければならなかったことは屈辱的だろうし、明後日12人がやって来れば来年に向けて闘志が高まるはず。というか、そうであってほしい。

 松本にしても今井にしても、ここ何年かクライマックスの参戦は逃しており、そろそろ再浮上をはかりたいところ。そのきっかけとして、このシリーズでは格の違いを見せつけてほしいし、そうであることを信じたい。やっぱりこっちに出ている存在ではないよね、と夜の酒場で語り合いたいということでもあります、はい。

 そうは言っても、シリーズを勝つことだって容易ではないわけである。クライマックス経験者は他にもたくさんいて、初日ドリーム組でも1~4枠が該当する。1号艇に入る細川裕子はつまり、あと一歩でベスト12を逃したのであって、最も悔しい思いで多摩川に入ったのは細川かもしれないのである。

 一方、顔を合わせて思わず「お久しぶりです」と挨拶し合った竹井奈美は、クライマックス常連だった時期があるわけだが、産休を挟んで、こうした舞台にやって来たのも久しぶり。今回は、来年以降のビッグ戦線復帰への足がかりとしての参戦ともなるだろうか。竹井にしても、12月25日からここにいるのは本来ちょっとした違和感なのであって、やはり貫禄を示したい一節ではある。

 そうしたなか、フレッシュな顔ぶれも参戦している今節。登番が最も下なのは川井萌。すでにレディースオールスターには出場しているが、女子最高峰決戦の場に足を踏み入れるのは初めてである。今日はまだ12人が不在で、通常の女子戦と変わらないかもしれないが、明後日からはティアラ争奪戦を間近で感じ、たくさんのことを学びたいところ。今日もそうだったように、新兵の仕事は節間通して忙しくなるだろうが、そのかたわらにトップ12の戦いぶりを目の当たりにしたい。

 同支部の柴田百恵もこうした場は初めてだろう。来年2月のレディースオールスターに“ミス38位”として出場することが決まっているが(笑)、ほんの1週間前に繰り上がり出場が決まった今節、より濃密なバトルを現場で経験できるのは大きいことのはずだ。静岡支部からは長嶋万記と三浦永理がクライマックス参戦、柴田にしても川井にしても、先輩のサポートを頑張るだけではもったいない舞台である。

 ところで、119期三人娘がこうした舞台に同時参戦するのは初めてではあるまいか。西橋奈未、實森美祐、土屋南だ。それぞれA1級経験もあり、レディースチャンピオンにも出場歴があり、レディースオールスターにも選出され、活躍もしている実力派ヤングだが、産休だったりF休みだったりで3人の揃い踏みは今まで見なかった。もちろんお互いに意識する存在でもあると思うので、今節は3人揃ったことでの相乗効果による大暴れが実に楽しみ。いずれは大晦日の最終レースでぶつかり合う可能性を持つ3人だと思っているので、まずはシリーズでおおいに鎬を削ってもらいたい。119期からは孫崎百世も参戦。間違いなく女子黄金世代!(黒須田)