BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

TOPICS 2日目

SANA29号、覚醒!

 これこれ、コレが観たかったーー!!
 3R5号艇の上田紗奈29号機だ。このレースの紗奈は、展示タイムから異次元レベルの6秒58をマーク。昨日はドカ遅れ~道中の追い上げも利かない5着で「どうなってんねん??」と叫んでしまったが、今日はスリット横一線の6コースから出て行く出て行く! あっという間にスリット同体の5コース土屋南を飛び越え、大外から大外へでっかい放物線を描く握りマイでバック2番手争いに持ち込んだ。

 このスリット足にもドギモを抜かれたけれど、さらなる圧巻は2周バックのレース足だ。なかなかの健脚で2番手を維持している薮内瑞希に対し、差した紗奈は先行2艇の引き波でちょい失速。勝負あったかと思いきや、そこからの押し足~行き足がエグイ、エグ過ぎる。1艇身半の後方からグイグイ加速して舳先を突っ込み、突き刺し、貫き通して舳先をニョキッと突き出していた。その間、約150m。

「や、や、やっぱスゲェ!!」
 今日の叫びはこうだった。やっぱ29号機は超抜なのだ。前検の足合わせで同期の西岡成美などをあっという間に千切り捨て、その時点で「A以上!」と殴り書きした足色とまったく同じ見え方。いや、それ以上だったか。しかも圧倒した相手がこれまた前検から「行き足主体に全部の足が強力」と鑑定していた薮内31号機だから恐れ入る。

 シリーズの早い段階でV選手や節イチパワーを決めつけるのが私の悪いクセだと自覚しているが、今節も2日目にして書きたい。書かせてください。
 このシリーズの節イチパワーは文句なしに【SANA29号】だぁぁぁぁっ!!!!
 あーースッキリした。もちろん、この大会は「節イチパワー=優勝候補」の等号になるほど簡単なシリーズではないが、最終日まで舟券に絡め続けると宣言しておこう。

ゴージャスなV候補

 さてさて、気が早いついでに今節のV戦線も占ってみたい。この大会はおそらく「SG・GI・GⅡの中でもっとも実力差が激しい記念シリーズ」であり、準優~優勝戦のピットは格上レーサーで埋め尽くされることが多い。今年も、2日目にして「強いもんは強い」という流れが定着しつつある。列挙しておこう。

★遠藤エミ

 昨日のドリーム戦は3コースから危なげない握りマイで2着。今日も今日とて6Rは有無を言わせぬ5コース一撃まくり!~12Rは強敵相手に影すら踏ませぬイン逃げで連勝を遂げた。SG覇者としての強さは当然として、早い段階で機力が仕上がったのもデカい。12R後も「しっかり舟は返ったけどまだマイ過ぎだったかも、明日はペラの微調整で」と余裕を覗かせた。【DR3号艇2着・5号艇1着・1号艇1着】の10.00に加え、6Rでは1分47秒0の節間トップ時計もマークした。
 6年前の当地大会では「55%の絶対エース機」と謳われた34号機を引き当て、当然のように予選をトップ通過し、準優1号艇でまさかのフライングに散ったエミ。機力的には当時よりちょい足りないかも知れないが、あの時の屈辱・反省やSGを獲った自信・経験値などなどが、その差額を上回って余りあるだろう。言うまでもなく、トップ級のV候補だ。
★小野生奈

 昨日の4カドまくりに続いて、今日の7Rも5コースから豪快なまくり一撃! 直前6Rの遠藤エミとまったく同じような航跡だったので、リプレイを観ているような錯覚に陥ったぞ。エミといい生奈といい、その攻撃たるや凄まじすぎる。隣の黒須田と口を揃えて「やっぱ、モノが違うわ」。生奈の2日間は【4号艇1着・3号艇2着・5号艇1着】で9.33。まだ1号艇も残しているだけに、エミと並ぶV候補の筆頭格とお伝えしておこう。

★竹井奈美

 昨日の当欄は「おかえり生奈」に特化したが、こちらも2022年が丸休み⇒長いB2生活からやっとA2に特進。でもって、復活の記念シリーズでいきなり無傷の3連勝は天晴れの一語!!! 昨日の外枠での連勝に続いて、今日の11Rはインからしっかり押しきって【5号艇1着・4号艇1着・1号艇1着】で10点満点とした。ただ3度目のインタビューでは「(機力は)威張って良いというほどではない」とやや暗めの顔立ちだったから、何かしらの不安を感じてはいるのだろう。4連勝を狙う明日の【7R2号艇】までに、さらなるテコ入れがありそうだ。

★浜田亜理沙

 昨年末の女王就任の勢いそのまま、今年の勝率は47戦で8点オーバー継続中!! 今節は目立つほどのパワーではないが、出足系統をしっかり仕上げて安定感抜群のターン回りで上位着を量産。【4号艇3着・1号艇1着・3号艇2着】=8.00でしっかりV争いの前線に取りついている。とにもかくにも最近の充実ぶりは壮絶の一語で、その勢いだけで有力なV候補とお伝えしていいだろう。ちなみに、旦那さん(中田竜太)も昨日の大村優勝してますな、おめでとう!

★西村美智子

 自称・穴党の私が「讃岐のまくり大怪獣」と崇めている美智子さまも、今日はピンピン連勝の快進撃! 2Rは3コースから十八番の絞めまくりではなく「差しきり」だったが、引き波を超える馬力もゴキゲンの一語。インコースの9Rは③浜田のまくり差しを浴びかかったが、「機力のおかけで」と本人も自覚するパワーでギリギリ逃げきった。【5号艇4着・3号艇1着・1号艇1着】は十分にVZONEだ。

★守屋美穂

 昨日のドリーム戦1着は「優勝するより嬉しいかも!」とプレッシャーからの一時的な解放を感じさせた。2走の今日は枠番より上位の4・2着でまとめたが、前半4Rの道中の足色がやや平凡に見えたのは私だけだろうか。【DR1号艇1着・6号艇4着・4号艇2着】で8.00の優勝候補には、もう一足の上積みが必要な気がしてならない。

 この他にも、地元の副将として奮闘している香川素子、三島敬一郎のイチ推し58号機で上位着を並べるであろう海野ゆかりなども侮れない存在ではあるな。とにもかくにも現時点で8点以上のV候補が9人!も居並ぶ群雄割拠シリーズだからして、「この選手が優勝する!」などとは冗談でも断定できない現状とお伝えしておこう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)