BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ベテランとヤング

 登番5000番台がSGのピットにいる! もうすぐビッグレースのピット取材をするようになって丸18年が経つのだが、ついにこの時を迎えるとは感慨深い。中村日向。末永和也。2人とも18年前はまだ小学校にあがるかあがらないかの子供だったわけで、それが強豪の一人としてSGにやって来るのだから、月日の流れというのはもう。
 それもこの二人は直前の地区選手権を優勝してSG出場権を手にしたわけで、思いのほか早くこの瞬間を実現させてくれたというわけだ。当然、前検のピットではふたりとも新兵の仕事をテキパキテキパキとこなしていた。もちろん、前検航走を終えた後には自身の調整もしっかり進め、それを終えてさらに新兵作業と、忙しい一日を終えた。中村とは少しだけ言葉を交わしたが、ヤングダービーのときと変わらず。というか、SGの雰囲気を味わう暇もなかった感じか。

 そうそう、中村は一昨日まで若松ルーキーシリーズを走り、移動日も考えれば実質中ゼロ日での参戦。それがハプニングを呼んだということなのか、なんと今日は宅急便で送った荷物が届かなかった。せっかくの初SGなのにいきなり神経を使わされたわけだが、「もうあとは上がってくだけですから」と笑っていた。うむ、なかなか神経が太いところがあるのだな。

 登番最上位は今垣光太郎だ! 18年前の今垣は30代半ばの脂が乗り切った世代であったが、いまや完全にベテラン。その18年前は新兵がまさに銀河系や86期の中野次郎らだったのだが、中野=4075番に対して原田順一=2273番という節があった。末永=5084に対して今垣=3388だから、その開きはほぼ同じくらいであって、当時の原田はすでに大ベテランの趣き。しかしながら今垣にはそんな雰囲気は皆無で、今日もピット内を縦横無尽に走り回っていた。本体の点検→ボートの点検→ギアケースの点検→ボートの点検とまあ、休む間もなく動いていたのだが、その移動がすべて駆け足なのだから恐れ入る。若々しさ満点の光ちゃんには本当に頭が下がります。

 あと、久々のSG登場となった田中信一郎も、変わらずによく動いていますね。登番は上から3番目なのだが、エンジン吊りでの動きはもう新兵のよう。率先してボートを引き、艇旗艇番を片付け、手薄な陣営にささっと駆け付ける。よく見ると大阪支部や近畿地区がいない班のエンジン吊りにも駆け付けており、これは以前と変わることのない動きなのだ。去年のマスターズチャンピオンでもその姿を見てはいたが、5000番台をはじめとするヤングが参戦しているSGだからこそ、その動きはひときわ目立つわけである。

 もちろん、悠然としたたたずまいの松井繁の貫禄もすごいんですけどね。王者はそんな振る舞いがやっぱり似合っている。5000番台がいるSGのピットで、今垣は若々しく走り、田中も若々しく動き、松井は王者らしく存在感をまき散らす。この光景がまた、本当に感慨深かったんです。
 そんなとびきりのレーサーたちが覇を競うクラシック! 明日からとことん盛り上がってまいりましょう!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)